今井次郎さんが亡くなった。アコさんも次郎さんのこと書かれてますね。
次郎さんを初めてみたのは、アコさんと一緒にいる時だったのだ。
その時の日記を引用します。
去年の円盤国際映画祭で、わたしたちは次郎さんに遭遇したのだ。
「しかし昨日強烈だったのは、第二部で隣の隣に座ったじいさんが、画面に向かってずっと笑ったりしゃべったりしていて、わーヤバい人来た、と思ってたら、アコさんが筆談であの人が持ってるの何?って言ってきたので見たら、ビニール袋を結んでつなげて作ったようなお人形を大切そうに持っていて、ギャッ!っと顔を見合わせ、恐る恐るもう一度見ると、お人形にはかわいい顔がマッキーかなんかで書いてあり、うへえ!ヤバいヤバいキてるキてる迷い込んで来ちゃったのかなあ…と思ってたら、その人が映画に出ていたことだ。そしてそれは、石川さんが共演して大喜びしたという、エーツーも共演しかけた(がリーべの都合でできず)、今井次郎さんでした。あーびっくりしたなあ。」
そのような強烈な印象でわたしの視野に入ってきた次郎さんと、我らが石川浩司氏がユニットを組むという。ユニット名、DEBUDEBU。DEBUDEBUは2011年の円盤夏祭りのためのユニットとして誕生した。その時のライヴ。渋谷O-nest6階の床に次郎さん作の、ゴミをこねたような小道具が散乱している。石川さんは鎖やらキューピーやらを持ってはしゃぎ回る。でたらめだ。つくってはかきまぜひっくりかえしこわしつくってはかきまぜひっくりかえしこわし・・・次郎さんが、「もういい加減音楽やろうよ、俺は音楽がやりたいんだ」と瞳孔全開で宣言したその直後に、川本真琴の写真集?かなんかを広げて見ながら、「なんじゃこりゃかわいいいいいいいいいいいっ!!!!」と倍音のよく出た声で絶叫。あの瞬間、わたしはでたらめな大人というものに打ちのめされた。
DEBUDEBUを円盤店長たぐちさんはいたく気に入り、円盤で定期的にライヴをする運びとなった。わたしが観られたのは、日比谷カタンさんがゲストの回だけだったけれど。カタンさんの卓抜なる構成力により、DEBUDEBUふたりは安心してでたらめに全力を尽くしていて、とてもきれいにオチまでついて、物語のようなライヴだった。
目白のポポタムというギャラリーショップで行われた、次郎さんの個展を観に行った時の日記を引用する。ライヴもあって、ゲストはジョニー大蔵大臣(水中、それは苦しい)だった。
「次郎さんの個展「田舎の出来事」にて。「いなか、の、じけん」からだよねこれ。訊けばよかった。何より次郎さんの作品が素晴らしかった。なんか、ルンペンのおじちゃんが、自分のダンボールハウスを飾るために作ったような、しみじみした、それからウフフ笑いが聞こえてくるような手作業の味わい、と、かわゆらしさ。アンド、相当クールなんだわ。ベリークール。
顔のついてるものはみんなそれぞれ性格があって、ごそごそ声をあげている。うっとうしいやつや内気なやつやおしゃまなやつや。そんな中でおこなわれるライヴは殺気がなくてそれはそれでよいものでした。
次郎さんは、昔昔から伝わるインディアンの掟とか、ブルーズの血腥さとか、地の奥底から湧いてくるリズムとか、うようよしてる亡霊とか、河原乞食のうたおどりとかの、「連綿と続いてきたものの渦」の中にいて、それらを増幅しながら自分と混ぜ合わせてこねてるというイメージ。背後霊がいっぱいいる感じ。
対してジョニー大蔵大臣は、ステージに立つ時、意識的にそういうものと自分とを一旦切り離していると思う。背後霊、まったくなし。不気味な程クリアなのだ。
だから二人は言わば水と油のようなものに思えるのだが、両者の接触面はおずおずとしていて、それは次郎さんにジョニーが絡む時におずおずすることによるのだが、それがなんともカワユかった。ジョニーの演奏の時、ステージの隅っこに座ってセーターを頭の上までひっぱり上げてセーターの中でおおわらいしている次郎さんもとてもかわいかった。その、最後までくんずほぐれつにならない関係性が好ましかった。
どんどん次郎さんのファンになるなあ。作品が安くて、何か欲しかった。給料日前で買えなかったが。「アートとしては安いけど、見る人によってはゴミに値段つけて売ってるって思うでしょ?そういうのがやりたくて」っておっしゃっていた。」
その後打ち上げで、次郎さんとジョニーがじゃれあっていて、次郎さんの頭を抱きながら「白い犬みたい」とジョニーは言っていたな。
入院されてからは、病院食を毎食かわいいどうぶつや人の顔にかたちづくって写真をツイッターにアップされていた。わたしはほんとうにあれが好きだった。どこにいても、どんな状態でも、そこにあるもので何かを作ることはできるんだということ、それから、次郎さんが骨の髄までそういう芸術家であるということ。そして、とてつもなく切ないものだったと思うのです。亡くなったからそう思うのではなく、あれはひどく切ないものだった、毎日ツイッターをみて感じていた。
次郎さんが亡くなったことを、石川さんは「星になった」と書かれていました。いつもなら、死ぬことを「星になる」とか、「へっ」て思うんだけど。
人が死んで悲しい、というのがよくわからない。自分のこととして。でも、すんごいさみしくなってしまったのだ、次郎さんの作品、でたらめさ、キチガイっぷりをもっともっと見たかったのだもの。もう見られないのかー、と思うと、とてつもなくさみしくなってしまった。一瞬だけ、慟哭しました。存在を知ってからあまり長くなかったし、直接ちゃんとしっかりお話ししたこともないのに、こんなにわたしの心に根を張っていたのだなあ、と不思議な気持ちだった。
それで、外に出た時に星がたくさん光っていて、石川さんが「星になった」と書かれていたのを思い出して、うん、次郎さんなら、ありうる。と思ったのです。何故でしょうね。
次郎さん、ありがとうございました。
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告知です。大変だ!まな板の上の俺様だ!
「2コ×恒松光ツーマン!」
19:00 オープン 19:30 スタート 1500円ドリンク付
そう、そうなのです、ツーマンライヴなのです。
共演は、ブレイクコアアーティストとして国内外で活躍されている恒松光(ex.CDR)さん。
恒松正敏(ex.フリクション等)さんのご子息だそうです。
ごめん、俺、不勉強でよく存じ上げないのです。
しかし、こないだ買ったCDRいま聴いてるけどかっこよいわ。きっとハイテク!
わたしは楽器も打ち込みもあいかわらずできません、こんな2人のツーマン!
さらに、恒松さんのお声かけにより、セッションもする予定です。どうなる!?
わたしは思いっきりクリスマスライヴのつもりで挑みますゆえに、クリスマスプレゼントあります〜。
新曲やら引っ張り出してきた曲やらもやります、なんせ持ち時間長いから。
平日ですが、皆々様残業を蹴散らしていらしてください。おもしろいもん見せます。
出番はたぶんわたしが先です、てか先にしてもらいます。音薄いかんな!
待ってるよ〜