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  • 2017.06.09 Friday
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リーべはうちゅーにむちゅー

 じじいの弁当が割とインパク知だったみたいで、コメントくださった方ありがとうございます。
調子に乗って、会社にいる約40歳独身女、一人称「オレ」趣味は僻みと自分の仕事できる自慢(実際はそうでもない)と陰口とあら捜し、似ている芸能人は田代まさし、についても書こうかと思いましたがただの悪口になるので止めます。あっ、軽く項目を書き並べたら既に悪口になってしもうた。やめよやめよ。いい人かぶっておこ。もぞりもぞり(かぶってみた)。


ハイ!気を取りなおして、今週はエーツーの相方、リーべさんの突拍子もない趣味について
お送りします。


まず言っておく。リーべさんの趣味は一概にかわいらしくない。

昔はオリーブ少女、パンにハマったとこまではまずまずガーリィだったのだがそこからイッヒイッヒ!質実剛健!とドイツにハマり、ドイツに行って自転車にハマり、自転車にハマった直後にキヨシローにハマり、ドイツより暗くてホコリっぽくてかわいい!とチェコにハマり(ここはややマニアックだがガーリーではある)、ドイツつながりでクラフトワークにハマり、テクノつながりでPerfumeにハマり、なんか山登りっぽい服装が好きになったりし、えーとそんで前に会った時には柔道部の漫画(ホワッツマイケル描いた人の)に今ハマってるんだあと言ってたのよね。

そんなかわいくない趣味目白押しのリーべさんが、「次会うとき今ハマってるものの話を是非したい!」というアツいメールを送ってきた。
わたしはトロいし保守的な人間なので、そう颯爽と趣味が変わったりはしない。ずーっとゆらゆら帝国聴いてるし、クラフトワーク聴いてるし、派手な古着ばっかり着てるし、逆柱いみりの個展に行って植物園行って料理のレパートリーを地味に増やしつつ町田康とか読んでいる。
だからリーべさんの突拍子もない趣味の話を聞いたり巻き込まれて出かけたりするのはとても刺激になる。何しろやつのハマり方は鮮やかなのだ。ぽーんとからだごとというか全身でのめりこんでいく。どこまでのめりこんでも、「こんなにハマっちゃってアハハ」というカラっとした傍目視線のようなものはあり、「これはわいの業なんや」というような悲愴な感じはない。

それにしても、今度は一体何にハマっているのやら。
柔道部の漫画はもういいのかえ?アフタヌーンで連載している木村紺の「からん」は面白いぞえ。京都のお嬢様高校の柔道部の話だ。

しかしリーベさんが新しくおハマりになったものは、
わたしの想像力の範疇から3億光年くらい外れたものでした。


ある日の打ち合わせにやってきたリーべさんは、ちょっとぎょっとするようなキャップをかぶってきた。げ、何それと思って突っ込んだのか黙殺したのか忘れたが、そのキャップは彼女が今ハマっているものの片鱗を示すものだと、打ち合わせ中に判明する。

打ち合わせと言っても飲み屋でビール片手に死ぬほどくだらない話を死ぬほどしているうちに素晴らしいアイデアが浮かぶのを待つという、端から見たらノート広げて原爆や地蔵や炊飯器の話をしながらゲラゲラ笑い転げているふたりの女というナゾの光景だ。

この日、一杯目のビールが出てきたところで、リーべさんはちょっと改まった感じで切り出した。

「わたしが今ハマってるのはこれ。」

そしてわたしに、みやげだと言って袋を寄越した。

袋の中には一冊のノートが入っていた。



「…う、宇宙?かっこいいノートだなこれ」

「宇宙っていうか、宇宙開発!わたしは今宇宙開発に夢中なんだよ!」


柔道部の次は宇宙開発ときた。

「…で、でかっ!!!でかいしわけわかんねえ!何なのどっから来たのソレ」

わたしの新しめの趣味はと言えば粘菌、なのだが、粘菌は小さくてカビやキノコに似ていて、言ってしまえばアンダーグラウンドな趣味だ。アメーバ状の時期は土の中にいたりするから「これがほんとのアンダーグラウンド」ってうまいこと言われてしまう生き物である。


粘菌の一種ムラサキホコリ。これで高さ8ミリくらい。

粘菌は、明治期の大学者・南方熊楠が研究していたことで有名で、
熊楠的思想によれば「密教的」な生物だ。
生と死の多様さを秘め、静かに静かに森の中で美しい複雑を生きている。
だからもう、「宇宙開発」って威風堂々のでかさで突然言われると、
その壮大さ、最新さのあまりの明るさというか迷いのない調子に、
「こいつまた一段と頭おかしくなったんじゃないか」と思うのである。

ちなみに、やつがかぶってたぎょっとするキャップは、
上記のノートにも載ってますが「JAXA」のロゴがばーんと入ってるものでした。
のちほど写真載せます。

問いただしてみれば、そもそものきっかけは週刊モーニングで連載中の「宇宙兄弟」らしかった。宇宙飛行士目指す漫画ね。
それで、10年に1回しかない試験とか、軟禁されて無地のジグソーパズルをやらされるとか、
宇宙服の袖のとこにはミラーがついてて、それで腹部の鏡文字を写して読むとか、
(ごめん、相方から聞いた話だからその必然性とか全然わからん)
そういったびっくり事情にどうやらやられちまったらしいのである。
そしてアツく語る言葉のはしばしに、「頭のつくりが全然違う」ということを
何度もちりばめた。
つまり、その未知の超理系頭脳の世界に強烈に憧れを感じたのだ、彼女は。

そうだよなー。考えてみたらどえらいことだ。
生まれた星を飛び出して、よその星でなんかやっちゃうんでしょ?
何やってんの人間。
あとよー、宇宙に実際行ける人はまだしも、
行けない学者の人とかは地球にいながらにして、
自分がどうやっても行けない遠い遠い遠い場所のことをずっと考えて
計算したり論文書いたりしてるんでしょ?
途方もないわー。
文化人類学者だったらフィールドワークに行けるけど、
宇宙学者はフィールドワークに行けないのだ。
しかし、わたしや相方には想像もつかないスーパー頭脳をもってすれば、
実際宇宙に行けないということは研究のさまたげではないのかもしれない。

ハマったら一直線のリーベさんは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の施設
筑波宇宙センターにも既に何度か行ったらしい。

JAXA  
http://www.jaxa.jp/pr/index_j.html

そこでロゴ入りのキャップや、みやげのノートを買ったらしい。
そこにはアキバ系オタクと見分けのつかないような、ネルシャツのメガネのもっさりした男性が
わらわらいるらしいが、
「アニメのことばっか考えてるやつとは頭のつくりが全然違うんだよ!そう思うと盛り上がるんだよ!!」と
熱弁をふるっていた。

そして、JAXAのロゴがダサいことさえも「そーゆースキもあったりして愉快」と褒めていた。

ほ、星・・・
思いついた時ちょっと有頂天になったであろう浮かれた感じ・・・確かにダサい。

さらに言うのである。
「エーツーのロゴみたいだしさー」


14歳、デビュー直後にできたロゴ。
「A」に「2」をつなげようとして失敗したギザギザを、あえてそのまま残してさらに「2」をつけた。表記は「エーツー」とカタカナだが、プリンスのあの変な記号みたいな感じで
このロゴがあるのです。サインする時は未だにこれ書きます。
まーこの適当で浅はかな感じが似てなくもないわな、JAXAとエーツーのロゴ。

その話を聞いた時のわたしのJAXA知識と言えば、
「あ!事業仕分けで予算削られたとこだ。しょこたんのブログに書いてあった!」
という最小の情報。
何しろわたしは、朝起きたらしょこたんになっていた、
っていうカフカは変身はグレゴールザムザはねえのか、それはわたしだ、と思っている。
しょこたんが宇宙好きだから木星の縞が一本消えたことだって知っているのだ。
しょこたんは「ムー」も「ニュートン」も買うが、
リーベたんは「ニュートン」しか買わない。オカルトには興味無いのだ。

とにかくJAXAのことなど何も知らなかったので、
相方から伝え聞いたというだけでわたしはJAXAを「相方の組織」みたいに認識して、
ニュースでJAXAが出てきたりすると「え!?あいつの組織がニュースになっとる!」と
仰天したりしていたのだが、ちょっと気をつけてみると、
ハヤブサ、えらい人気者!!!JAXA、みんな知ってる!!
宇宙開発、ニュースになりまくり!!!
なんだ、相方だけがトチ狂って宇宙開発し始めた(してない)のかと思ったけど、
そりゃそうよね、世界的に関心強い事項に決まってるじゃんね。
しかし星座や天体という、リリカルなとこすっとばして
趣味「宇宙開発」とは、やっぱりこいつ突拍子もない。

ところでこの話えらい長くなる気がしてきたので2回に分けます。
分けつつ、後編の前に
「ラフレシアコンテスト写真発表」はさみます。
だから再来週までこのJAXAのロゴを主に覚えててください。
再来週、リーベさんが宇宙開発以外のものにハマってないとは
保証できませんけど。

ところでもうすぐライヴがあります。

★9月7日(火)★
高円寺円盤
「日々の音楽〜うつろな想像力〜」
19:00-/Charge¥1000円

出演:エーツー/武藤イーガル/ジョン(犬)/ケイドロック

店長たぐちさんのコメント:
ついに1stCDをリリースした、天然才女デュオ、ケイドロックがCD発売記念にやって来ます。
対するは、歌うオルガン犬、ジョン(犬)。
現代音楽から演歌まで作曲家として活動する才人、武藤イーガル。
そして、歌って踊ってお菓子も配るアカペラ・アイドル・デュオ、エーツーという濃過ぎる一日。


そう、JON(犬)さんと共演です!うれしいなあ、汚いよなあ、あの着ぐるみ。
見るたびに「汚い、こわい」と叫んでしまう。
そんなJON(犬)さんと共演できてハッピーパラダイス。
他の共演の方もおもしろいって、たぐちさん言ってました。
がっつがつに仕込んでばきぼきにやらかしまくるので、
ぜしともいらしてください!!!!


ではまた来週。


じじいの弁当(追記あり)

 じじい続きで申し訳ない、今週の朦朧見聞録は会社にいるじじいについてです。

仮に名前を「ヤジ」としておきましょう。
年の頃は70手前くらいですかね、我が社は定年70歳なんで。

さてこのじいさんは驚くほど意思の疎通ができない。人の話を全く聞かなければ、何を言っているかもわからなければ、何故会社が雇っているのかもわからない。

どこの部署に行っても仕事を覚える気なんかないから
「どーっだっていんだよこんなん(「ど」にアクセント)。らあ」といい加減にやる。
そこの上司や一緒に仕事をしている人が注意しても聞く耳など持たないし、
言い返してる言葉が何を意味しているのかわからない。
だからみんな好き勝手に馬鹿だ猿だと罵詈雑言をぶつける。
ヤジはそれに声を張り上げて反論するが、「らあ。おだあほんらあとらあだんらあ」と、
相変わらず何を言っているのかさっぱり聞き取れないのである。

そして「いらない」といろんなところをたらい回しにされた結果、
最も簡単で、やり方を間違えても会社的に損害のない、
しかし最も単調で体力的にはきつい部署に落ち着いたのだ。
ある人は言ったものだ。
「ヤジがあそこの仕事ずっとやれんのはアイツが馬鹿だからだよ。
普通の人間なら単調過ぎて狂っちまうべ」

そして馬鹿だ猿だ屑だと罵られても聞く耳持たない鈍感さがヤジを生かしているのだろうとも思う。いや、でも人の話を少しでも聞けるのなら罵られることもないのか。

作業場には荷物運搬用のでかいエレベーターがある。
ヤジの仕事のひとつは、このエレベーターで一階から三階に作業用の資材を運ぶことだ。
しかし毎日のようにヤジはエレベーターで四階に乗りつけて、
扉が開くと白痴的な笑みを浮かべ「おあ。あれ、四階かここぉ。おあ。らあ。」と、
「階を間違えたふり」をする。
そしてその不可解な笑みを湛えたまま扉を閉じ、改めて三階へと向かう。
その意義について解明できた者はまだいない。
前歯のない口。結構つぶらな瞳。甲高い声。ヤジ。

ヤジの定時は17時である。しかしチャイムが鳴るいっぱいいっぱいまで仕事などしない。
16時40分くらいになると四階の人気の少ない辺りをうろつき、
関係ない班の出勤簿を見ているふりなどをしている。
「へえ。この人はよじまでかい。なあ?まいっちゃーよなあ。らあ。」と、
誰にともなく話かけたりなどしながら。

ある時わたしと同じ部署に働く若者が、
「ヤジが何故か俺に話しかけてきたんだけどさあ、『おあ。だーらあなあ。あーらあさあらあ。ごじごじ』とか言ってて、「ごじごじ」のとこしかわかんねえの。定時17時だって俺にアピールしてきたんだろうけど。意味ねえし」と言ってきた。
しばらくその「ごじごじ」の真似をしてケラケラ笑った。

そんな、癒さないようでちょっと癒すようでやっぱり癒さない系じじい、ヤジ。
(ラー油風に言ってみた)

ヤジの弁当が、わたしの心を突き刺してやまないのである。

じゃあ、まずイラストで見てみましょうか。



どん!!

新聞紙にくるまれて、スーパーの袋に入っているのである。

で、中身は?



どどん!!

あの、祭りの屋台で焼きそば入れる容器、あれに入っているのである!!
そして輪ゴムで止めてあるのである。

で、内容物は?



えーえー。絵が下手でわかんないよね。
まずコメがぎっしり詰めてあり、その上にだいたい揚げ物が乗ってる。
そして漬物とか、あと昆布と大豆の煮たやつとか、
たまにおたふく豆?あの甘い豆。あれとかも乗ってる。
分けて詰めるという発想はないらしく、森羅万象がご飯の上に乗っている。
あのよ、甘い豆とご飯って合わないじゃん?
わたし個人的には昆布と大豆の煮たやつも甘くていやだ。
つまりご飯に合うとか合わないとかいう繊細な問題は、
この弁当において一切無視されてるっぽいのである。
この透明パックは100均とかで買ったものだろうが、
たまに店のバーコードシールが貼ってあるのを見ると、
揚げ物の値下げ品のパックを流用しているのかもしれない。

そして極めつけはこれだ。



でででででん!!!

包んであった新聞紙を、飯の後に読むヤジだ。


すごい、すごい弁当だよこれは。
多分奥さんが作ってるんだと思うんだけど、
もうどうでもいい感じのミニマルさ。
コメと揚げ物と甘い豆。部屋とワイシャツとわたし。
それを余すところ無く享受する、ザ・無自覚のヤジ。

ゲー、やだなあの弁当。と思いながら、
毎回遠くから覗き込んでしまうのだった。
あの弁当には、やだな、気持ち悪いな、と思いながら
目が離せない、不可思議な引力がある。
まー、いわば、小宇宙、ってやつ?
そうとう因果な小宇宙だと思いますけど。

あの弁当を覗き込む時、とっても「車谷長吉」っぽい気分になる。
知らない方には伝えづらいのですが、
「落ちるとこまで落ちた時に人間になる」みたいな感じ。
うん、ちょっと違うかもね。
とにかく、ヤジの普段のおこないと、あの弁当の結びつきは奇跡だ。
あの弁当はヤジしか食べてはいけない。
そんな弁当であるわけです。

まあそんなわけで、来週は小宇宙じゃなくて大宇宙の話をしたいと思います。


<追記!!!!>

ヤジの弁当についてはずっと気になっていて、自分のブログに書いたこともあるのだが、
この度ニヒル牛マガジンの記事として書こうと思ったのは、
つい最近、ヤジのぶったまげシーンに出くわしたからだ。

ある日、わたしが15時に取るべき休憩を遅れて16時頃に取ったところ、
食堂の流しのところにヤジがいて何かをしていた。
ヤジは15時にちゃんと休憩を取っているはずだから、
完全にサボりである。
その手元を覗いてわたしは驚愕した。

みんなが食器などを洗う用に置いてあるスポンジで、
なんと、なんと、なななななんと、やつは、
「自分の靴の中敷き」をごしごし洗っていやがったのだ!!!

ひええええ。ひえええええ。きたねえええええ!!!!最悪じゃ〜〜〜〜〜

注意してもやめる筈がないし、何よりあっけにとられすぎて口がきけないでいる間に
ヤジは洗った中敷きを持ってそそくさと退散してしまった。
一体どこまで世界のことを気にしないというのか。

わたしは同じ時間に休憩していた若者たちに、
「あのスポンジはぜったい使うな」と釘を刺し、
「わたしはぜったい使わない」と宣言し、
「あー次のマガジン、ヤジの話にしよう」と心に決めたのだった。


北関東より:じじいの秘密基地



何よりまずこれを見よ。
我らがアイドル「エーツー」の名曲中の名曲「ラフレシア哀歌」である。

この曲で被っているラフレシア頭巾と同じものを、
只今ニヒル牛・ニヒル牛2で展示・販売中です。
ニヒル牛2に出品したものは既に売れましたが。
そして明日、ロック食堂(シェフの七尾さん、水曜更新中!)に納品予定です。
みんなー、買わなくてもいいからかぶって写真撮って送ってくれたまい。
このページをラフレシア人でいっぱいにしたいのです!

冒頭で投げてる「ハエ黒アメ」も食べれるよ!!


あと先週の原爆ばなし、いろいろ手直ししたかったけど
ラフレシアとハエにまみれてたらどこを直したかったか忘れちゃったので
ひとつだけつけ加えます。

こないだ、用事があって市役所に行ったら、
古河市は「非核平和都市宣言」の市じゃなくて「男女共同参画」の市になってた。
何を!!!!
われわれの原爆知識はなんだったのか。垂れ下がった皮膚を、やけどにわいた蛆を、
今の古河市の小学生は夏休みのうんざりメモリーとしてインプットしていないってのか。
うーーーーーん。
だめよ。なんとなくだめよ。
ゲー吐くくらいひどいことがあるって、知らなければだめよ。わかんねえけど。


さあ今回は夏休みらしく、秘密基地の話だ。

会社に行く途中、いつも送迎バスの中から見てずっと気になっていたスポットがある。

家一軒+庭くらいの、わりと広い敷地に、誰かの濃密なせかいが展開されているのではないかと
思しき独特な雰囲気が充満している。

掘っ立て小屋がぽつねんとあり、あとは木が植わっていて、
膨大な量のペットボトルや石で仕切りが作ってある。
なんだか流木みたいなオブジェや、金だらいを逆さにしたようなものもいくつか見える。
並んだペットボトルの微妙な色の違いとか風化ぐあいがへんに美しく、
「すわ!キタカンのガウディが己の城を建設中か!?」と
こっそり色めきだったりして、毎日横目で眺めていたのだ。
掘っ立て小屋にのそっとした人の影を認めたとき、
わたしの静かなる興奮は頂点に達した。

住人がおった!!!

何度か見かけるうち、住人はじいさんであることがわかった。

ぜったいキ●ガイだ。
昔はここにちゃんと家があったのだろう。
しかし何かで没落し、家を失ったじいさんは残った土地に掘っ立て小屋をかけて
自分の世界を展開しつつのそのそ暮らしてるのだ。

という妄想にわたしは夢中になった。
そう思わせる独特さがそこにはあったのだ。
わたしはとりあえず、そこを「ランド」と名づけた。
名づけたところで会社の人には一切発表していないが。
今初めて世界に発表した。
「ランド」である。「ディズニーランド」の遊戯性をちらっと意識してつけた。

非常に「朦朧見聞録」的である。
世界の車窓から眺めているばかりでなく、もっと近くで、詳細に、かの場所を見てみたい。
そういう思いに駆られ、わたしはガタピシいう自転車で漕ぎ出した。

すると家を出て3分、橋の上り口でこのようなものに遭遇した。


ゴミをわざわざ針金でくくって手すりにディスプレイしてある・・・!
あずきキャラメルの小袋、魚肉ソーセージの皮、マスタードのパッケージなど。

ぎゃっ!毎朝遅刻寸前でチャリ飛ばしてるから気づかなかった!
なんだか不気味だ。
何かの暗号なのか?
「ランド」と共通の雰囲気を感じる。
「ゴミなのに人為的な配置をしている、そしてその意図がよくわからない」という不穏さ。

そしてあきれるようなみどりの田んぼ道の中を走って、
ついに「ランド」に到着した。
わー・・・やっぱり独特だ。

しかし「ランド」はコンビニの向かいに位置しており、
近くに中学校もあって部活帰りの中学生がたくさん通るため、
あんまり不審者ぶっこくわけにもいかない。

中学生が途切れるのを見計らって、ささっと写真を撮ってきた。


並んだ石とペットボトル。手前にコスモスが植えてある。
右奥、石の上にたらいが逆さにかぶせてある。



ペットボトルは十六茶が多いですね。



掘っ立て小屋。入り口はのれんのように布が垂らしてあり、ランプが吊るされているのを確認。
小屋の左にトイレもある。手前左にゴミ燃やし用のドラム缶。

●たらいとか植木鉢とか、容器を逆さに伏せて飾る
●石をペンキで塗る
という傾向があるみたいだ。




「ランド」への入り口脇。甕が、ここでは伏せずに飾ってある。




中庭。勝手にシンボルツリーということにした、キョウチクトウが花をつけていて、
「ランド」の彼岸っぽさを演出している。



いろんな木が植わっている。
三角コーンにも、何かの容器を伏せてかぶせてある。
細めの土管みたいのも仕切りに使っている。




コンビニに面した一角には、薄いネットを貼ってある。
物干し台があって、何かでかい袋みたいのが干してあった。
黒と黄色のしましまポールも多用してあった。




裏庭。ポールの頭の部分だけ折って埋め込んである。
モミジがぽつぽつ植わってた。




中の仕切りは大五郎?ちがう、宝焼酎のでかいペットボトルで作ってた。

せまい道路に面しているので、引きで全体像を撮れなくて
あまり異様さが感じられないかもしれませんが、なかなか魅力的なスポットでした。



書かなかったほうがよかったくらいいい加減だが、だいたいこんな感じだ。


会社で、昔からこのへんに住んでるじいちゃんに「あそこ何なの?」って訊いたら、
家は別にあって道楽でやってるみたいだと判明しました。
なーんだ。住んでるんじゃないのか。
ちょっとがっかりしたけども、ペットボトルや石をためといたり、
家のガラクタを嬉々として運び込み好きなように配置するじじいの喜びを
想像したら、うらやましくなった。
それはまさしく秘密基地だ。
土地持ちのじじいだからこそできる、
トイレ・水道付きの、草木に満ちた秘密基地なのだ。
いいなあ。

全然違うだろうけど、武田百合子の『富士日記』の山小屋を連想したりもして。

あなたの街の「秘密基地」も教えてください。見に行くから。
作ってる人は誘ってよね。

夏だ!スイカだ!原爆だ!

 「1945年8月6日8時15分…」
ピンポーン(早押しボタン押す)!「はい、エーツー」
「広島に原爆が落とされた日時です」「正解!エーツー、何番?」「8番」
ティン、ティン、ティン、ティン、ティン…
「8番から25番までが赤に変わった!エーツーの優勝が決定だ!」

…アタック25です。

いや、児玉清は関係ねいです。原爆の話っす。
最近エーツーの間で原爆がよく話題にのぼります。
事の発端はリーべさんの友人の結婚式の2次会にエーツーで出ると決まったこと。
持ち時間5分というあまりにもな待遇に業を煮やし、5分で場内の善男善女の度肝を抜いて抜いて抜きまくる驚愕の出し物案をつぎつぎとひり出したのでした。

そのひとつ、出色の出来だったのが次のような案。

何の脈絡も必然性もなくエア温泉。
ドライアイスを焚いて、煙がはけると当然のように全裸で頭にタオルを乗せたエーツー。
どこからか連れてきた草津温泉の湯もみの人もいる。
ババンババンバンバン♪避妊しろよー ババンババンバンバン♪ むしろ今夜命中か?
ババンババンバンバン♪ 結婚おめでとー!ババンババンバンバン♪
と下世話なことを連発する。
するといきなり原爆が落ちて、ピカドンじゃああ!水飲んだら死ぬぞーあの時刻で止まった時計じゃー壁に影が焼きついたあぁあ手から皮膚を幽霊のように垂らした人の群れがぞろぞろと歩いていきましたーって感じに撤収。


「あのアイドルが脱いだ!」というセンセーショナルさは一切なく、色気もなく、じじむさくさえある、ライヴとかでもなく他人の結婚式で突如出現する、必然性がほんとうに全くの皆無である迷惑千万な裸。

その迷惑裸を煙に巻くかのように落ちる原爆。脈絡のない阿鼻叫喚地獄絵図。ザマアミロ。

思いついておいて何ですが、あまりにヒドく、「はい、これはふきんしん」と
布巾を渡す猫ひろしのギャグをしても中和せしめること能わずでしょう、
と大人しくボツにしたのですが、出番自体がボツになったので最後までこれをやるつもりでいればよかったと今では思います。


さて案はボツったのですがそれ以降なぜか原爆トークが会話のところどころに差し挟まれるようになりました。
他の人から見たらどうなのかわからないけれど、エーツーは自分たちについて「原爆に妙に詳しい」と自負しています。
というのも、わたしたちの通った小中学校のある古河市は、「非核平和都市宣言」なるものをしており、夏休みになると非核についての作文を書かされるならわしでありました。
いや、数種類の作文から選べるんだったかな。数回書いてそのノウハウを身につけたわたしは、楽チンだからと毎年非核平和作文を選んでいました。
それで毎年、原爆についての資料を目にすることになります。
両腕から焼け爛れた皮膚を垂らし幽霊のように歩いていく人びと、飛び出した眼球、黒こげの死体、川の水を飲んで息絶えた人びと、8時15分で溶けて止まった時計、化膿したやけど跡にわく蛆、壁に一瞬で焼き付いた影、白血病で苦しむ被爆二世の人びと…
これらはいつしか、自分で体験したわけでもないのにうんざりする夏の風物詩のようなものになってしまったのでした。
作文にはこれらをさも悲惨げにちりばめ、「このようなことは二度とあってはならないのです」ときっぱり結べば及第点というわけ。

しかしあの頃、わたしはどこから見た迷いのなさ、何に基づいた清い心で「二度とあってはならないのです」と書いたのだろう。
その毅然とした心の澄み方は不審である。
たぶん単に自分がそういう目に遭いたくないから全力でそう書いたのだ。
高学年向けの課題だったのだろうとは思うが、それでも子供心にやけどにわく蛆や両腕から垂れ下がる皮膚はショッキングだ。
自分や家族がそんなことになったら恐ろしい。だからやめて、核、と。
そういう幼稚な恐怖心がまずあったろうと思うけれども、
あの「二度とあってはならないのです」のきっぱりさには、
「そう言っとけば間違いない」という思考停止のようなものがあると思う。
作文だからそう書いて終えられるけれど、
わたしはほんとうに心の底からそう思っていたのかなあ。

今はどうか。
わからない。
だってここで「二度とあってはならないのです」と息巻いたって、
世界のどこかで核実験、核戦争が行われることをどうやって止めるのだ。
今の核兵器って、人類絶滅させられる威力があるって言うじゃない。
すげーな人間。
何がすごいって、自分たちを丸々絶滅させられるものを自分の手で作った動物って、
どれだけ生態系から逸脱してんのか、ってことですよ。
自殺する動物は人間だけだっていうけど、
個人じゃなくて種族まるごと自殺することができるんだな今や。
いや自殺はどこまでも個人的なものだ、人間全員が死ぬならそれは自殺ではない、
ほとんどの人が「まきぞえ」である。
まあとにかく、そのようなものが地球上にわりとゴロゴロあるわけでしょう?
わけがわからなすぎて頭がぼうっとしてくるわい。

「温泉原爆」ネタでは原爆をオチみたいにしてギャグにしてるけれども、
幽霊のような皮膚も焼きついた影も風物詩みたいになっちゃってるけれども、
1945年にそれはほんとうにあったことなのだ。
アメリカもねえ、何してくれたんだよ!
見りゃわかるだろ、竹槍訓練とかやって戦争に勝とうとしてる国なんですよ。
プロレスラーにアカンボが喧嘩を挑んでるようなものなんだよ。
「リメンバーパールハーバー」って言うけどもさ、
しゃれた言い回しなんだよ。韻を踏む余裕まであるじゃないかよ。
原爆は韻など踏めないのだ、「焼け爛れた皮膚を・・・やけどにわいた蛆を・・・」と、
言葉を尽くすしかないのだ。ポップに言って「ピカドン」が限界なのだ。

そういう話を相方としたり、武田泰淳の『富士』という小説を読んだりしているうち、
「そーいえばあんなに惨敗したのに何故か”戦争好き”の人っているよな」と思ってきた。
バリバリの右翼とかじゃなくて、このページに以前書いた「戦争の好きなすいとん屋」みたいな。あれはわたしが妄想したのだけど、実際そのケありっぽかった。

『富士』は戦時中の精神病院の話だ。
主人公が研修医として働く精神病院に軍人が視察に来て、
「われわれは戦死するべきだ。狂人だってそうするべきだ」というようなことを言う。
主人公は、「たしかに戦死したいが、こうして衰弱死していく狂人も、戦死する軍人も、
生物的な死を迎えたという点に変わりはない」と答える。

戦死するべきだ、戦死したい。

ぎょっとしますよね。でもここに「戦争好き」の鍵があるんだろうさ。
命が「お国」と明瞭につながれていること。その迷いのなさ。
ほんとうに、「お国のために戦死する」ことが幸福だと思っていたら、
なんていうか、楽なんじゃないのか。
死の恐怖を克服することを人間は夢見てきたのではないだろうか。
それで様々の宗教が生まれた。
「お国」は、命をばんばん投げ込む神聖なる焼却炉のようなものであったのかもしれない。
だけどほんとうにそんなにみんなうまく思い込んでいたんだろうかね。
「おりゃそんなのやだよ」というのが露呈してしまうと「非国民」になってしまうが、
「英霊になりたーい」と口では言いながら、「やっぱり戦争で死にたくねえ」と
うめきながら死んだ人もいたのではないかね。

しかし命を「お国」やその他何かと明瞭に結びつけて迷いなく生きたい、
または死にたい、そういうのについて非難はできないのじゃないか。
それを強要する制度に関しては「人の命を決めんなよ!」と唾したいが、
人がそれを望むのなら、否定できないよなー。
何しろほんとのほんとはわたしたちの命は何かと簡単に結びついたりしてないと思うからだ。

つらつらつらつら書きましたけど、今回わたしが書きたかったのは
以下のことにつきます。

小学6年生の時だったろうか、市内の各校から2人選ばれた児童が集められて、
「平和学習」なるものに連れていかれた。
何故かその時、わたしとリーベさんが選ばれたのだ。エーツーだ。

バスに乗せられ栃木県の丸木美術館に行き、「原爆の図」をみた。
「原爆の図」については皆さんもよくご存知だと思うので詳細は省きます。

これらを見て例によって作文を書かなくちゃいけないから、
わたしは一生懸命メモったよ、『見仏記』のいとうせいこうばりにメモった。
しかしその時のメモは何かがおかしかった。

「後ろで手をしばられ刀で首切り」

ん?

「後ろで手をしばられ刀で首切り」

ああん?

「後ろで手をしばれられ刀で首切り」


それ、「南京大虐殺」だよ!!!

丸木美術館には、「原爆の図」の他に南京大虐殺の絵も展示してあったと記憶する。
わたし、そっち見てそっちメモってしまったのだわ。
何故かリーベさんもそのことをよく覚えていて、ふたりで爆笑したのだ。
「何メモったんだ!」
「いやーたぶんもう垂れた皮膚の絵とか見たくなかったんじゃないかな」
「それで首切りを・・・」
「何か感じるところがあったのかもね。」
「書いたんじゃね?作文に。」
「書いたかもね、川べりには焦げた死体がごろごろしてて、
 あと後ろで手をしばられて刀で首切りされてる人もいました、って」


「それ、南京大虐殺だよ!!」

新しい教科書をつくる会とか歴史認識とかぶっとばして、
6年生の自分に全力でつっこみたいのである。

ちなみに8月にライヴをやることになったら、
「原爆」やろう、黙祷しよう、ということになりました。
その際は、リーベさんが中学3年生の時に合唱コンクールで絶唱した「木琴」と、
クラフトワークの「レディオアクティビティ」をミックスしたSEをつくりこれに合わせて
幽霊のように入場したいと思います。
今回記事用にそのSEをつくろうと思ったけど、
エーツーが世界に誇るスタッフJRがくれた音楽製作ソフトがまだ操れないので
youtubeふたつ貼り付けますので各人脳内でミックスしてください。





はい黙祷!!


消えやがった

 原爆と変な記憶について書いていたのに、消えやがりました。
もう今日は間に合う気がしないです。

そして明日からニヒル牛2で「むし展」が始まります。
おうちの庭が森になったらいいなと思って
メイとサツキはどんぐりを埋めますが、
わたしたちはニヒル牛が森になったらいいなと思ってやりました。
鬱蒼とした熱帯雨林風の店内、そこにうごめく、
かわいい虫、かっこいい虫、グロテスクな虫、まぬけな虫たちを
思う存分ご堪能ください。

フライヤーに載っているむしクイズに正解すると、
スタンプが押せるんだぜ!!
ワークショップもあるんだぜ!!
そしてわたしはニヒル牛マガジン×むし展プレゼンツ、
ラフレシアコンテストをやりたいと思います。

店内に展示してある「ラフレシア頭巾」をかぶって写真を撮って、
2コまで送ってください。
ここのページに掲載させていただきます。
2コが独断と偏見で大賞を選び、何らかの賞品を差し上げます。
ひとまず写真と掲載時のお名前だけでいいのでこぞって送ってください。

eetsuu2co★gmail.com までね。
★は@に変えてくれよな。

頭巾は1500円で販売もしております。
ハエバッヂ100円もあります。 
エーツーがライヴで投げてるハエ飴も置いてます。これは好きに喰ってください。
追加納品も予定しています。

他の作家さんのむしたちが素晴らしすぎて、わたしゃ恥ずかしい。
わたし全然造形作家じゃないんだなー。やっぱエーツーなんだ。

あー。明日になるかもしれないけど原爆の話も書きますよ。
明日落ちた日だしね。

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