成長が早く、2年くらい経ったらもう実をつけるようになった。
初めの年は申し訳程度だったが、どんどん実付きがよくなってきている。
だが、その中にかなりの確率で、青白く肥大するものがある。
虫こぶかな、と思った。ある種の虫が産卵すると、その植物組織は正常に成長せず、
タンニンなどが以上分泌されて肥大したりちぢれたり変色したりする。虫の住処になるのだ。
その、虫でも植物でもない「虫こぶ」という有機物にゾクゾクするんだが、どうやら違うようだ。
春にキノコの胞子がついた桑の雌花が、青白く肥大するんだそうだ。
胞子がつかなかった雌花はふつうに赤黒く甘く熟し、食べても問題ない。
肥大した実は、木の下に落ちるとそこからキノコが生えて翌年また寄生するので、
もいで遠くに投げるといいらしい。
それでわたしは桑が熟し始めてから毎朝、キノコ桑をむしっては少し離れた草の中に投げていた。
木からぼろっと外れるくらいまでに肥大した青白い実はぶゆぶゆになっており、不用意に力を入れると
べちょっと潰れる。中は、正常な実を潰した時とはぜんぜん違う、果実感のない黒いどろどろ。
気持ちが悪い。これは地面に落ちると真っ黒い菌核というものになる。もうだいぶキノコ寄りなようだ。
気持ち悪いし、桑の実を楽しみにしている実からすれば目の敵なのだが、
この「クワ実菌核病」のことがやたらに気になっている。
虫こぶみたいだからだろうか。
なんか、曲とかに入れられないかなーとこねくりまわしているけどむずかしい。
植物と伝承みたいなものにだいぶ興味が向いている。
桑は、蚕の食草であるところからいろいろいろいろありそう。知りたい。
前は縁もゆかりもない言葉を使ってまったく自分ではない歌を、
やらされているアイドルというスタンスで歌いたいと思っていた気がするが、
今は、昔からあるまじないの言葉みたいのを井戸から汲み上げて、納得のいくかたちに練り上げて、
昔からあるまじないとは違うかたち、気に入るかたち、自分にとっての新しいまじないにしたい、
という気持ちがある気がする。それって、鼻歌かもしれないな。
つづく、かな。
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あれを聴いて、な〜んでみんな同じような声色なんだかな、と不思議に思った。
たまに、そんなには仲良くない人とカラオケ行くことになるとやっぱりその声色で歌ってることが多い。
あのー、鼻に抜いて喉でしゃくる系の。ビジュアル系由来なのだろうか。
まあイラっとするわけだが、この、声色つーか発声法が一般化してるカラオケ界はなんなのかな、
そもそも声色ってなんなのかな、
そしてこんなに誰もが歌ったり踊ったり(だって学校で必修科目だったりするんだろ、ヒップホップ)する中で、
別に天性のボーカリストでも身体能力のすぐれたダンサーでもないわたしが、
人前で歌踊りを披露するってことはなんなのかな、とぐるぐるし始めてしまった。
その意義はオリジナリティ、ではない。本人がそう思ってない。
とりあえず声色について。
歌ってものが生まれたはじめのはじめの頃は、ってまた勝手に想像しているんだが、
声色には意味があったはず。
獣を追い払うとか家畜を呼ぶとか雷を避けるとか祝祭のイレギュラーさを演出するとか求愛とか。
それが、歌が生まれてものすごく時間が経ったら、カラオケで鼻にかけて喉でしゃくるという、びっくりな変わりよう。
あ、もしかしたら求愛のバリエーション(自己愛含む)なのかもだけど。
わたし自身は、カラオケは、聴いたままの声を自分から出す、という歌い方。
チャゲアスだったら飛鳥のねばっこいまたはチャゲのハイトーンクリアでもねっとりした歌い方、人間椅子だったら研ちゃんのがなりうなり唱法または和嶋さんの変に力の入った歌い方。つまり歌真似か。できてるかは別にして。
自分の曲ライヴでやる時は、曲を作った時にこういう感じだからこういうボーカル、というとこまでできるのでそれに近づける。
だから自分が歌う時の声色についてそんなに深く考えたことなかった。
しかしちょいと、この声色はこういう意味あい、みたいのを思い浮かべながらやってみるのも面白いな、と思い至りました。
それがどう反映するかはもう少し練習してみないとわかりません。
つづく
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これに出るんですよねー。これの前にライヴをしたのは約1年前、エーツーの20周年。
その間はだいたい野ゲーキ絡みのことでしか人前に出ておらず、歌って踊るのはとても久しぶり。
私事ですが転職もしてばたばたしてたり労働時間が延びたりして、人様のライヴにもほとんど足を運んでおらず。
正直、音楽にがつがつとした飢餓感をおぼえなくなっている近年です。
年なのか、とんがった、同時代的な、ひりひりする、ネット世代のカリスマ〜みたいなのにはとんと興味が持てぬ。
バンドは手ノ内嫁蔵が最高峰だと思ってて、それくらい良くないとライヴ行きたくないし。
という中、興味あるな〜と思い始めたのは、仕事歌。
転職する前、仕事があまりにも肉体的にきつすぎて、これ、歌いながらやっちゃだめかな、と思ったのがきっかけ。
こっそり、口の中でもにょもにょ歌うと、きつさが緩和されるんですね。
んで、たまたまネットで見てた地方の名物とかを紹介する番組で、塩田の作業がきついのでそれをまぎらわすための労働歌ができた、ということを紹介していて、わあ!と思った。
そう、何かの本でだったか、昔は仕事をしながら歌う歌ってのがあったけど今は仕事しながら歌ってると怒られる、という旨のことを見かけて、その時はふーんと思いこそすれ、実感を伴ってはいなかった。
塩田の労働歌のことを知った時に、同時代的なヒリヒリ感なんかメじゃない、肉体から出た、厚みのある、見せたり見られたりする必要のない歌ってものが、いろんなとこにあるんじゃないかー!と興奮した。
だけど、そういうものだから、あんまりホイホイ売ってたりしないのであった。
あと、わたしが興味あるからと言って買い漁ったり資料読み耽ったりする勤勉さを持ち合わせていないので、勝手に想像して、そういうものを作りたい〜とかほわほわ思ってるだけなのだった。
つづく。
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